自然治癒力と免疫力

私たちはよく日常の中で「免疫力」とか「免疫力が落ちて…」といった言葉をよく耳にします。この「免疫力」とは、病気が発病する前にその病気を防いだり、病気になってしまったカラダを元通りの元気なカラダに戻す不思議な力のことです。これは誰でもが持っている私たちカラダの中にある病気を自然に治してくれる働きのことで、「自然治癒力」と呼ばれています。
現代にはさまざまな病気がありますが、その多くは私たちがもともと持っている免疫の力で治すことができます。そのためには、生活の中で免疫力の低下を防ぎ、高めていくことが重要です。つまり、自然治癒力を高めることが健康で病気にならないカラダをつくる秘訣なのです。

免疫力の低下と病気

原 因 病 気 や 症 状
@体力の低下 かぜ、花粉症、ヘルペス(帯状疱疹)、膀胱炎など
Aからだの歪み リウマチ、ガン、自立神経失調症など
B腸内環境の悪化 ガン、アトピー、花粉症、食物アレルギーなど
C老 化 ガン、肺炎、せきや微熱が続くなど

免疫力低下の原因@「体力の低下」〜攻撃力は体力アップで〜

「カラダが丈夫な人」「カラダが弱い人」などとよく耳にしますが、これは体力のある人、体力のない人と言いかえることができます。
しかしながら、カラダが丈夫な人でもかぜをひくことがあります。これは栄養不足や過労などで体力が低下して、細胞免疫の攻撃力が低下するためにかぜのウイルスが体内に入りやすくなるためです。そして日頃からカラダが弱い人は、常にかぜのウイルスに冒されやすくなっているということです。ですから、ウイルスや細菌に負けない体力をつくっておくことが免疫力を高めることになるのです。

免疫力低下の原因A「体の歪み」〜免疫の正常な働きを保つために〜

ストレスや不規則な生活だけでなく「一度大きな病気をしたことがある」「病気が長引いている」など、カラダに大きな負担をかけるとカラダ本来の正常な働きがくずれます。
「病気がちになる」というのは、ストレスや過去の病気などの負担がカラダにかかって、次々にカラダの正常な働きがくずれた状態なのです。
当然、免疫力も歪みが生じるため、正常な働きができなくなり、自分自身に向って免疫細胞が攻撃するリウマチなどの自己免疫疾患やガン細胞を見分ける力の低下によって起こる、ガンなどの病気の発生を招きます。

免疫力低下の原因B「腸内環境の悪化」〜腸が免疫の決め手〜

腸はさまざまな食物から栄養を吸収する大切な器官ですが、反面、食物についた細菌やアレルギー物質なども同時にふれることの多い器官です。そのために腸には、カラダの1/3の免疫細胞が集まり、一つの大きな免疫システムを作っています。この腸の免疫システムは、全身の免疫系をコントロールする司令塔の役割をしています。
lこの腸の免疫システムがくずれてしまうと、免疫のコントロールができなくなり、食物アレルギーのような本来起こらない過剰反応が起こったり、逆に全身の免疫系が低下し、感染症やガンにかかりやすくなります。この腸の免疫システムが崩れる最大の原因は、腸内環境の悪化です。

免疫力低下の原因C「老化」〜免疫力も年とともに低下する〜

免疫力は10代をピークに働きが弱まってしまい、60歳代では赤ちゃんのときの免疫力くらいまで低下してしまいます。そのため若い人に比べ、高齢者では同じかぜでも悪化して肺炎まで発病してしまうことがあります。
また、老化が進むとガンや病気になりやすく、それだけカラダを守る防御力が低下している証拠です。この「免疫力=防御力」の低下の原因となる老化を遅らせることがとても重要です。漢方などの東洋医学では、この老化を防ぐために”補腎”という概念で示されます。

 

あなたの免疫力チェック チェックはいくつ?
@風邪を引きやすく、なかなか治らない
A花粉症やアトピーなどアレルギーがある
B疲れやすくなった
C便秘、下痢を繰り返す
D栄養の偏りがある
E60歳以上である
F病気が治りにくい
Gストレスが多い
H運動不足である
I生活が不規則である
0〜1個 今の生活を維持し、しっかりと免疫力を保ちましょう。
2〜4個 免疫力が弱っています。症状があれば今のうちに原因を見つけましょう。
5〜7個 今のうちに免疫力を高めておかないと大きな病気につながってしまいます。
8〜10個 注意が必要です。生活習慣を見直し、
検診を受けるなどしましょう。
キレイな腸は病気知らず

腸には100種類100兆個の腸内細菌が住み着いているといわれています。その中には善玉菌といわれる有用菌と、悪玉菌といわれるカラダに害を及ぼす菌があります。腸内の環境は、これらのバランスにより保たれています。ところが、食生活の偏りや乱れなどによって悪玉菌が優勢になり、腸内環境が悪化すると下痢や便秘といった症状だけでなく、腸の免疫システムの崩壊につながります。

こんなろとろでも働いている免疫

これまで肝臓は免疫臓器としてあまり注目されてきませんでしたが、近年の研究によって肝臓は免疫の主要な臓器である事が解明されてきました。
肝臓は「人体の化学工場」ともいわれるほどさまざまな働きをしています。特に必要な栄養素の加工やアルコールの分解などはよく知られた働きですが、肝臓に廃物の処理という重要な働きも担っているのです。肝臓にはクッパー細胞という肝臓の免疫細胞が配置されていて、肝臓に運ばれる異物を食べて処理します。また、免疫細胞は異常な自己細胞(ウィルスに感染した細胞やガン細胞など)を処理するパトロール軍団で病気の予防に大切な仕事をしています。

私たちの日常生活そのものを見直すことで、低下した免疫力をアップさせ、良い状態を維持させる事は可能です。免疫力=自然治癒力は人間の生体リズムに依存する場合が多く、睡眠や食事、適度な運動、ストレスの解消など、普段の生活を改めることで、大きく改善できるものなのです。